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にがりの化学名は塩化マグネシウム含有物(粗製海水塩化マグネシウムともいわれます)。主に海水から採れるミネラル成分です。豆腐は、大豆と水ににがりがあれば完成します。なのに、なぜそれ以外の添加物を使用した豆腐ばかり出回っているのか。
一つの象徴的な事実があります。当社では、にがり以外の添加物を使用していません。ところが添加物の力を借りると、同じ1俵の大豆から豆腐が1.5倍から2倍近くできるのです。同じだけの原料なら、出来る量は少しでも多い方がいい、と考えるのは無理もないかもしれません。
しかし、添加物で造られた豆腐は、添加物不使用の豆腐と比べると、味も香りも、栄養価も薄められています。これを豆腐と呼ぶことには、どうしても抵抗を感じるのです。 |
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豆腐は凝固作用を持つ成分を加えなければ、形が造れません。この凝固剤がにがりなのですが、中には別の凝固剤を用いた豆腐もあります。と言うのも、にがりは瞬間的に凝固するため、細工が利かず、扱いが難しいのです。
例えば、硫酸カルシウムが使われる場合もあります。これはいわゆる「石膏」です。運動場などで白いラインを引く時に使われるやつですね。もちろん食品用ですが、同じ成分であることは間違いありません。普通の感覚なら、石膏を食べよう、とは思わないでしょう。しかし、誰もが簡単に白くて固い豆腐が造れるから、という、実に安易な理由で用いられているのです。 |
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グルコノデルタラクトンというものもあります。同量の大豆から倍以上の豆腐が出来る、便利な凝固剤です。ですが、栄養価は半分しかありません。
凝固剤を一つとっても、かくの如し。他に品質改良剤、PH調整剤、防腐剤、酵素といった添加剤や消泡剤が使用され、その数は13〜15種類にも及びます。発ガン性を指摘されているものあるんです。こういうことが、生産性向上のためと称して普通に行われている。
私には出来ません。本物でないばかりか、安全とすら言えない豆腐を、自己都合のために造るのは、到底容認できるものではありません。 |
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当社の豆腐に使うのは、国産丸大豆だけです。どんな大豆が豆腐にふさわしいのか、常に開発・改良を重ねています。
この大豆を水につけ、すりつぶし、煮る。それを絞って豆乳とおからに分け、豆乳ににがりを加える。昔ながらの流れです。行程は全て機械化されており、途中段階では製造者が直接手で触れることはないので、雑菌の混入する恐れもありません。
「昔ながら」を重視するのだったら機械を使わずに、人力でやった方がいいのでは?そんな疑問を抱く人もおられるかもしれませんね。誤解です。例えば煮た大豆を絞る作業を見ても、人力では限界があります。が、機械ならしっかり絞ることが出来ます。純度を高め、かつ衛生を保つには、機械が理想的なのです。
豆腐屋で、よく水にさらしたまま売っている姿を見かけますね。当社では、豆腐を水にさらすことはありません。にがりを加えた豆腐はそのままパックに充填されます。なぜか。水にさらすと、雑菌の混入する恐れがが高いからです。見た目は涼しげでも、決して衛生的とはいえません。
パックに充填された豆腐は。そのまま90度で50分間、加熱殺菌されます。充填パック方式なら安全性だけでなく、日持ちも違います。冷蔵庫においておけば15日間はもつのです。
手間はかかります。設備維持のコストもバカになりません。おまけに同量の大豆からは他社の3分の2しか豆腐を造れません。
しかし私は、このやり方を変えるつもりはないのです。おいしく、安心できる豆腐は、いつの世でも必ず求められる。そう考えていますから。 |
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